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T君の道草

毎月10日・25日発行

タクシー日本新聞社

編集長の道草

ロイヤルリムジン増車却下取り消し訴訟・国の準備書面



ロイヤルリムジン(金子健作社長、東京都江東区、50台)による
タクシー30台の増車却下は違法として、
国を相手取って増車却下処分の取り消しと増車認可、
そして国に増車認可の義務付けを求めた裁判の第4回口頭弁論が1月17日、
東京地裁民事第二部第703号法廷で行われた。

 当日は、前回12月6日の弁論で被告の国側が提出した準備書面に対して、
原告のロイヤルリムジンが反論の準備書面を提出するとともに
「供給が需要を上回ることを理由にタクシーの増車申請を却下することは許されない」と題する、
国の増車却下の違法性を論じた意見書を提出した。

 これに対して国側は、反論の書面を提出するとした一方、
原告側は、次回の弁論で3名の意見陳述を申し出た。
これにより次回で原告、被告側の主張の大枠が出そろうことから、
司法判断のヤマ場を迎えようとしている。

意見書についてはタクシージャパン204号の紙面にて掲載したが、
ここでは数回に分け、昨年12月6日提出の国側準備書面の全文と
原告側の準備書面の全文・証拠説明書を公開する。

次回の第5回口頭弁論は3月7日。

※※※※※※※※※※以下、国の準備書面※※※※※※※※※※
(ブログの設定上、文字が左寄せ配置になっております)

平成24年(行ウ)第327号 事業計画変更認可申請却下処分取消等請求事件
原 告  ロイヤルリムジン株式会社
被 告  国(処分をした行政庁:関東運輸局東京運輸支局長)

準備書面(2)

平成24年12月6日
東京地方裁判所民事第2部A係 御中

被告指定代理人 長澤 範幸
        吉村 康成
        遠藤 恭弘
        石毛 紀生
        佐藤 健太郎


被告は,本準備書面において,原告の平成24年9月25日付け準備書面1(似下「原告第1準備書面」という。)に対して必要と認める限度で反論するとともに,原告の求釈明事項に対して回答する。
 なお,略語等は,本準備書面において新たに用いるもののほか,従前の例による。

第1 特措法は需給調整規制を改めて導入するものではなく,新規参入や増車の実質的禁止は容認していないとの主張(原告第1準備書面5ないし27ページ)について
1 原告の主張の要旨等
(1)原告は,特措法制定に至る経緯についての被告の主張に関し,「第40回物価安定政策会議総会議事要旨」(乙第5号証)など,政府部内の各種会議などにおける委員等の発言などを引用し,これら各種会議等での議論は被告の主張の根拠となるものではなく,むしろ特措法に関する原告の主張を支えるものである(原告第1準備書面8及び9ページ)などと述べるとともに,特措法は,「緊急調整地域制度による需給調整をする前段階の一方策として,悪質事業者の排除(法令遵守の強化)と自主的取組による供給抑制がある」にすぎず,「需給調整規制を改めて導入する趣旨ではな」く,基本方針をみても,「新規参入や増車の実質的禁止は予定されていない。」などと主張する(原告第1準備書面27ページ)。

(2)しかし,被告の平成24年9月25日付け準備書面(1)(以下「被告準備書面(1)」という。)第3の2(1)ないし(3)(21ないし34ページ)において述べたとおり,法が従前採用していた需給調整規制は平成12年改正により廃止されており,特措法も,需給調整による規制を明確には規定しておらず,飽くまで,タクシー事業について,地域の状況に応じて,地域における輸送需要に対応しつつ,地域公共交通としての機能を十分に発挿できるようにすることが重要であるとの観点から,タクシー事業の適正化・活性化を推進するという目的(特措法1条参照)の下,国の責務として,「検査,処分その他の監督上必要な措置を的確に実施するものとする。」と定め(同法6条),その一環として,特定地域内の営業所に配置する事業用自働車の増車(以下「特定地域に係る増車」という。)に関する事業計画の変更(以下「特定地域に係る増車変更」という。)について,法の特例として認可制を導入したものである。
 また,交通政策審議会が取りまとめた答申(乙第11号証)をはじめとする特措法の制定過程においてなされた議論等(乙第5号証及び第8号証等)をつぶさにみても,特措法が,原告が主張するような「悪徳事業者の排除(法令遵守の強化)」と「自主的取組」のみによってタクシー供給の拡大の抑制を図っているにすぎないなどとは到底いえない。また,特措法に基づく特定地域に係る増車の変更認可(以下「特定地域に係る増車認可」という。)等の規制が新規参入や増車を実質的に禁止するものでないことも,被告準備書面(1)第4の5(3)(48ページ)等において述べたとおりである。

(3)以上のとおり,原告の上記主張は,特措法の趣旨,目的や同法に基づく規制の枠組みを正解しないものであり,失当というほかないが,念のため,以下において,平成12年改正前に法が採用していた需給調整規制と特措法下における特定地域に係る増車変更の規制,取り分け、措置基準の収支計画要件とが,その性質を異にしていることなどについて述べておくこととする。

2 措置基準の収支計画要件は平成12年改正前の需給調整規制とはその性質を異にするものであること

(1)平成12年改正前の法の需給調整規制の制度概要等
ア 平成12年改正前の法の需給調整規制の制度概要
 平成12年改正前の法は,タクシー事業への新規参入について,需給調整規制を前提とした免許制を採用し,
国土交通大臣は,タクシー事業の免許をしようとするときは,同法6条に定める免許基準に適合するかどうかを審査しなければならないと定め,この免許基準の一つとして,需給調整規制である「当該事業の開始によって当該事業区域に係る供給輸送力が輸送需要量に対し不均衡とならないものであること」(同法6条1項2号)との要件を定めていた。また,増車に係る事業計画の変更をしようとする場合は,国土交通大臣の認可を受けなければならないとされていたところ(同法15条1項),当該認可の基準についても同法6条の規定が準用されていたことから(同法15条2項),増車に係る事業計画の変更の認可についても,同法6条1項2号が定める上記需給調整規制の基準に適合することが要件とされていた。

イ 需給調整の運用基準及びその適合性の審査方法
 需給調整の運用基準の詳細については変遷があるが,平成9年から平成13年までについては,タクシー事業の需給調整等の運用の透明化等を図るため,おおむね,その運用基準を以下のとおり定め,申請年度における需要量に対して適切と認められる車両数を算定するなどしていた。

(ア)申請年度の需要量の算定
需要量=直近の実績年度の総実車キロ×同年度下半期の対前年同期比
(イ)申請年度の基準車両数の算定

基準車両数=需要量÷(直近の実績年度の総走行キロ×同年度の実車率÷同年度の延べ実働車両数)÷365÷同年度の実働率

(ウ)申請年度の適用車両数の算定
適用車両数=基準車両数×1.2

(エ)申請年度の増車可能車両数の算定

増車可能車両数=適用車両数―恒久車両数(全事業者の認可済み車両数の合計)
このように,平成12年改正前の法が予定していた需給調整規制は,直近年度の実績等に基づき算出された申請年度の需要量に対して適切と認められる車両数を算出し,当該車両数から恒久車両数を差し引いて,増車可能車両数を算出し,当該増車可能車両数が存在する場合に,その範囲においてのみ同法6条1項2号の基準に適合するものと認めるというものであった。そして,これを増車に係る事業計画の変更についてみれば,当該変更申請時における需給調整規制の適合性の判断に当たっては,当該変更申請に係る増車車両分の営業収入がいかなる輸送需要によるものであるかは審査されず,飽くまで,申請に係る増車車両数が申請年度の増車可能車両数の範囲内か否かによって判断されることになり,いわば供給輸送力に着目した規制となっていたものである。

(2)需給調整規制と収支計画要件との相異性
上記(1)のとおり,平成12年改正前の法の需給調整規制は,供給輸送力に着目した規制であったが,一方で,措置基準の収支計画要件は,「提出された収支計画上の増車車両分の営業収入が,申請する営業区域で当該増車実施後に新たに発生する輸送需要によるものであることが明らかであること」として,特定地域におけるタクシーの供給過剰の状況の下で,申請する営業区域において新たに発生する輸送需要であることが明らかであることを要件とするものであり,新規輸送需要の有無に着目したものである。
すなわち,従来の需給調整規制は,上記(1)のとおり,需要量は直近年度の実績により申請年度の需要量が算出されるため,たとえ増車に係る変更の認可の申請において当該増車によって新たに発生する輸送需要があることが明らかであったとしても,当該増車車両数が申請年度の増車可能車両数の範囲を超えるものであれば,当該基準に適合しないとされていたのであって,上記のように新規輸送需要の有無に着目する収支計画要件とは,その性質を異にしているといえる。

(3)収支計画要件による特定地域に係る増車変更の規制の適法牲
 被告準備書面(1)第3の2(4)ウ(37及び38ページ)で述べたとおり,収支計画要件を定めた措置基準は,法及び特措法の趣旨及び目的に沿って,特定地域に係る増車認可の申請(以下「特定地域に係る増車申請」という。)に対する審査を,供給過剰に伴うタクシーの安全性や利便性の低下を防止する観点から厳格に行うことを定めたものであって,合理性を有するというべきである。
 この点収支計画要件を満たさないとして特定地域に係る増車申請が却下され,結果として,特定地域に係る増車の規制が従来の需給調整規制と同様の効果を招来することになったとしても,法の改正及び特措法制定の経緯や法及び特措法の趣旨,目的に照らせば,法及び特措法が需給調整の効果のある規制を行うことを一切許容していないとは解されないというべきである。

 この点,東京高等裁判所は,特別区・武三交通圏を営業区域とするタクシー事業者が,同交通圏が特別監視地域として指定されたことに基づき,違反行為について加重された処分を受けたことに対し,特別監視地域の指定制度は,タクシー事業への参入及び需給調整に係る規制方針を変更し,需給調整を撤廃し,その障壁をなくして自由競争の中から公共の福祉に供する業界秩序を形成しようとした平成12年改正後の法の趣旨に反するものであり,違法であると争った事案につき,平成12年改正により需給調整規制が原則廃止され,タクシー事業についても事業への新規参入が自由化されることとなったものの,平成12年改正の経緯及び供給過剰がタクシー事業にもたらす弊害を含め,同改正時におけるタクシー事業を巡る問題点についての議論を踏まえれば,「平成12年改正は,輸送の安全を確保し,道路運送の利用者の利益の保護及びその利便を図るという道運法(引用者注:法のこと)の目的の実現についてまで行政の規制の対象外として,すべて事業者間の自由競争に委ねる趣旨の下に行われたものと認めることはできない。」(乙第23号証10ページ)と判示し,さらに,「道運法は,平成12年改正により供給輸送力が輸送需要量に対し著しく過剰となっている地域に対する新規参入を制限する緊急調整地域の指定の制度(道運法8条)を新設しているが,平成12年改正の前記経過に照らせば,道運法が需給調整を原則的に廃止し,同制度を設けたことから,これによらない限りは,需給調整の効果のある規制を行うことを一切許容しない趣旨で上記改正が行われたと解するべき理由はない。」(同号証15ページ)と判示して,特別監視地域の指定制度やこれに基づく行政処分の加重の運用の適法性を認め,控訴人であるタクシー事業者の控訴を棄却したが(東京高裁平成24年7月11日判決・東京高裁平成24年(行コ)第73号輸送施設の使用停止処分取消請求等控訴事件),この理は,特措法下における特定地域の指定制度はもとより,本件のように,収支計画要件を定めた措置基準による特定地域に係る増車変更の規制の適法性を検討する上でも等しく妥当するといえる。

(4)小括
 以上のとおり,原告の頭書の主張は,特措法の趣旨,目的及びこれによる規制の枠組みを正解しないものであって理由がなく,措置基準の収支計画要件により特定地域に係る増車変更を規制することも適法というべきである。

第2 マイナミ空港サービス株式会社の執行役員らの陳述書等(甲第30号証の1及び2)を根拠とする需要増に関する主張(原告第1準備書面28ないし34ページ)について

1 原告の主張の要旨
原告は,「羽田空港・成田空港に関する送迎を記した図」と題する図面(甲第8号証の1)や,提携先とされるマイナミ空港サービス株式会社の執行役員らの要望書(甲第30号証の1)及び陳述書(同号証の2)などを根拠として,①羽田空港及び成田空港の「空港利用者の相当数が都心部に向かうことは原告の送迎実績からも明らかである(括弧内省略)し,特別区・武三交通圏を営業区域とする原告に対して増車の要望がある(括弧内省略)ことからしても,特別区・武三交通圏内で具体的な需要増が生じている」(原告第1準備書面29ページ),②「原告が増車を実現して外国語対応可能な特殊部隊を増強すれば,提携先からの依頼に応えることが可能となるが,それと同時に,外国人観光客に対する対応も可能とな」り,「外国人観光客が増加すれば,それに応じて,原告のサービスに対する需要も直接的かつ具体的に増大する」(原告第1準備書面29ページ),③「外国語対応可能な原告のタクシーは,ビジネスジェットを管理しているマイナミ空港サービス株式会社等を通じて,その利用数を伸ばすことができる。」(原告第1準備書面30ページ)などと主張する。

2 来日外国人を対象とする需要増をもって収支計画要件を充足するとはいえないこと
しかし,原告がその主張の根拠とする上記の各証拠や,「ビジット・ジャパン事業開始以降の訪日客数の推移(2003~2010年」と題する一覧表等(甲第12号証の2及び3)は,本件処分時にはいずれも資料として提出されていなかったものである。

 この点をおくとしても,原告の主張する来日外国人を対象とするタクシー需要の多寡は,我が国の社会,経済情勢や諸外国との関係などといった流動的要因や不確定的要素に影響されることが大きいといえるから,上記の各証拠は,原告の上記主張を的確に裏付けるとまではいえず,また,本件申請に係る30台の増車車両分の営業収入が,増車実施後に新たに発生する輸送需要によるものであるか否か,また,それによって特別区・武三交通圏のタクシーの輸送需要が新たに発生するか否かを一義的に明らかにするものでもないというべきである。
したがって,原告が主張する上記事情をもって,本件申請が収支計画要件を充足していると認めることはできない。

第3 原告の求釈明事項(原告第1準備書面第5・36ページ)に対する回答

1 求釈明事項1について
原告は,平成13年度から平成23年度までのタクシーによる交通事故の総件数の推移を明らかにするよう求めているところ,国土交通省がとりまとめた「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書(平成23年度)」(乙第24号証)41ページの図44において,平成13年から平成22年までの全国のタクシーの事故件数等が明らかとされている。
なお,平成23年分については,被告において上記求釈明に対する回答に当てるに相当な資料を保有していない。

2 求釈明事項2について
原告は,乙第21号証に関連して,これと同様の特別区・武三交通圏における平成13年度以降の実績,他の大都市交通圏における実績を明らかにするよう求めているところ,特別区・武三交通圏における平成13年度以降の輸送実績の推移は,乙第25号証のとおりである。また,他の大都市交通圏における実績については,平成13年度以降の名古屋交通圏及び大阪市域交通圏における各輸送実績の推移を示す資料として,乙第26,第27号証を提出する。

3 求釈明事項3について
原告は,措置基準の収支計画要件(原告第1準備書面では単に「措置基準」とされているが,収支計画要件をいう趣旨と解した。)が満たされるためには,特別区・武三交通圏における地域全体の新規需要が明らかであることが必要なのか,それとも増車認可申請者にとっての新規需要があれば足りるのかを明らかにするよう求めている。
この点,被告準備書面(1)第3の2(4)ウ(37及び38ページ)で述べたとおり,措置基準は,収支計画要件を含め,法15条2項で準用する法6条2号の適合性を判断するための認可基準として定められたものであるところ,法6条2号は,「前号に掲げるもののほか,当該事業の遂行上適切な計画を有するものであること。」と規定し,認可要件として事業者の申請に係る事業の計画自体が同号に適合することを定めている。このことからすれば,特定地域に係る増車申請が収支計画要件を満たすというためには,申請者である事業者にとって輸送需要が新たに発生するものでなければならないことは当然の前提である。

さらに,特定地域におけるタクシー事業が抱える供給過剰の問題は,タクシーの輸送人員の減少と相まって,過剰なタクシーの供給(職送力)が存在することにあることから,たとえ増車によって申請者が新たな輸送需要を獲得することとなったとしても,それが当該特定地域内における既存の輸送需要であったのであれば,むしろ同地域内の供給過剰を助長することとなり,特措法の趣旨,目的に反することとなる。そうすると,供給過剰の構造を踏まえた輸送需要に適合した供給(輸送力)というのは,増車車両が,当該特定地域内の既存の輸送需要に適合したものではなく,同地域にとっても新たに発生する輸送需要に適合したものであることが必要である。
以上のとおりであるから,収支計画要件を満たすためには,申請者である事業者にとって新たに生ずる輸送需要であることが明らかであることを前提とし,この新規需要が当該特定地域(本件でいえば特別区・武三交通圏)において新たに生ずるものであることが必要である。

4 求釈明事項4について
原告は,収支計画要件が定める新規需要の発生については,どのような資料に基づきどのような根拠で判断しているのかを明らかにするよう求めている。
しかし,収支計画要件の充足性の審査,判断は,国土交通大臣等の裁量により行われ,また,飽くまで申請者ごとに個別,具体的に行われるものであって,その性質上,一般的な指針や目安があるものではない。それゆえ,原告の上記求釈明に対し,一義的,類型的に回答することはできない。


以上





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