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T君の道草

毎月10日・25日発行

タクシー日本新聞社

編集長の道草

ロイヤルリムジン増車却下取り消し訴訟・被告(国)の準備書面2



ロイヤルリムジンが国に増車却下処分の取り消しと増車認可、
増車認可の義務付けを求めた裁判の、
被告(国)が3月1日付けに提出した
準備書面の全文の2回目。

※※※※※※※※※※以下、被告の準備書面※※※※※※※※※※


第2 その余の原告の主張に対する反論

1 井手教授らの意見に依拠した原告の主張に理由がないこと

(1)原告は,収支計画要件は平成12年改正前の需給調整規制と同様のものであり(甲第37号証1ページ),あるいは,需給調整規制のための基準である(甲第40号証13ページ)と主張するようである(原告第2準備書面5及び6ページ)。

 しかしながら,被告準備書面(2)第1の2(1)及び(2)(4ないし6ページ)で述べたとおり,平成12年改正前の需給調整規制は,供給過剰地域であるか否かに関わらず,需要に対して適切な車両数を算出して,それに基づき増車の当否を判断するというもので,いわば需要と供給の均衡を行政が直接的に調整することによって,道路運送に関する秩序を確立することを目的とするものであって,供給輸送力に着目した規制であったといえる。

 これに対し,収支計画要件は,既にタクシーの供給が過剰状態にある特定地域における営業区域内での増車申請の当否を判断するに当たり,増車車両分の営業収入が新たに発生する輸送需要によるものであることが明らかであることを要件とするものであり,新規輸送裾需要の有無に着目した基準といえるから,この点において,従来の需給調整規制とはその性質を異にしている。

 また,収支計画要件は,従来の需給調整規制の目的とは異なり,供給過剰によるタクシーの輸送の安全や利便性の低下を防止し,もって輸送の安全や利用者の利益の保護を目的とするものであるから,この点においても,従来の需給調整規制とは異なる。

 したがって,収支計画要件と従来の需給調整規制とを同一,同質のものとする原告の主張は理由がない。

(2)また,原告は,「タクシー事業者が明らかな新規需要を立証できない限り増車を認めないとする政策には,経済学的な合理性が全くない。」(甲第37号証17ページ)と述べるようである。

 しかしながら,繰り返すように,収支計画要件は,供給過剰の状況にある特定地域において,供給過剰によるタクシーの輸送の安全や利便性の低下を防止するために定められたものであり,需給調整規制によって適切な車両数を経済学的に算出するためのものではないから,収支計画要件に「経済学的な合理性が全くない。」との原告の指摘は単なる政策的意見にとどまるばかりでなく,収支計画要件の意義,目的を正解しないものといわぎるを得ない。

 さらに,原告は,「需給調整規制を行うには,法律の明文の根拠が必要であり,明文の根拠がないのに,(中略)需給規制を根拠づけることは許されない。」(甲第40号証14ページ)などと述べる。 

 この点,収支計画要件は需給調整規制と同一ではないから,原告の上記主張はその前提において理由がないが,この点をおくとしても,被告準備書面(1)第3の2等において述べたとおり,措置基準は,法15条2項が準用する法6条の許可(認可)基準適合性を判断する上で考慮すべき要素を具体的に掲げた審査基準であり,特定地域における新規の増車等に係る事業認可等については,安易な供給拡大を抑制し,認可処分,審査の厳格化を図るという前述の基本方針の定めを反映させたものであり,収支計画要件も,供給過剰によるタクシーの輸送の安全や利便性の低下を防止する観点から,増車による需要増が明らかに見込めるもの以外は原則としてこれを認めないこととして淀められた特措法15条の趣旨に沿うものであって,法の目的とする輸送の安全の確保や道路輸送の利用者の利益の保護及びその利便の増進を図るために定められた基準といえる。

 それゆえ,収支計画要件を設けたことにつき,「法律の明文の根拠がない」などとはいえない。

2 日車営収からみれば,特別区・武三交通圏は他の地域ほど供給過剰にはないとの主張について

(1)原告は,特別区・武三交通圏における実働1日1車当たりの運送収入(日車営収)は,平成13年度以降,「常に4万円を超えており」(乙第25号証),物価水準を考慮に入れたとしても,他の交通圏に比べて「ずば抜けて高い運送収入を上げ続けており,今後もこの傾向に変化の兆しは見られない。」として,特別区・武三交通圏は,「少なくとも他地域におけるほど,供給過剰ではないということを意味して」おり,「本件で,原告の増車申請を認めても何ら問題が無いことは,(中略)一目瞭然である。」と主張する(原告第2準備書面4ページ)。

(2)しかしながら,ある地域(交通圏)が供給過剰の状態にあるか否かは,飽くまで当該地域(交通圏)ごとに検討,判断されるべきものであって,他の地域(交通圏)との比較において検討,判断されるものではないから,原告の上記主張は,その前提において理由がない。

 上記の点をおくとしても,確かに,平成13年度以降の特別区・武三交通圏における実働1日1車当たりの運送収入(日車営収)は,いずれも4万円を超えている。しかし,一方で,年ごとにみた日車営収の推移は減少傾向にあり,取り分け,平成21年度以降については,従来の需給調整規制が行われていた平成13年度と比べて1万円前後も減少している。さらに,実車率,運送収入及び実働1日1車当たり実車キロ(日車実車キロ)についてみても,平成13年度以降の数値は減少傾向にあり,あるいは平成21年度以降の落ち込みは顕著である。例えば,被告準備書面(1)第3の3(38ないし40ページ)で述べたとおり,特別区・武三交通圏における平成20年度の日車実車キロ及び日車営収は,いずれも平成13年度の値を10パーセント以上下回っており,上記のとおり,平成21年度以降のこれらの数値は更に下回っているのである。

 以上からすれば,平成13年度以降の数値だけを捉えて特別区・武三交通圏が他の地域ほど供給過剰の状況にはないなどとはいえない。

3 引用裁判例に係る主張について
(1)原告は,東京高等裁判所平成24年7月11日判決(乙第23号証,以下「東京高裁平成24年判決」という。)を一部引用した被告の主張(被告準備書面(2)7及び8ページ)について,東京高裁平成24年判決では,特措法の下での需給調整規制の可否について何も判断されておらず,また,収支計画要件は増車を直接的に規制しようとする需給調整規制であり,法及び特措法の安全確保等の目的は措置基準の他の要件により確保しうることから,同判決に照らしても,収支計画要件は正当化し得ない旨主張する(原告第2準備書面6ないし8ページ)。

(2)しかしながら,被告は,東京高裁平成24年判決のうち,平成12年改正の趣旨を引用した上で,収支計画要件が,供給過剰によるタクシーの輸送の安全や利便性の低下を防止する観点から定められたのであり,法の目的に沿うものである旨主張しているのであって,原告の上記主張は,被告の主張を正解しないものである。

 また,東京高裁平成24年判決は,増車変更が法に基づく届出制であることを前提として,特別監視地域における行政処分を加重することが,「増車自体を直接的に規制するものではないことを考慮すれば…平成12年改正の趣旨に反すると認めることはできない」(乙第23号証15ページ)と判示したものであり,特措法において特定地域に係る増車変更の規制が認可制とされたことを前提としたものではないから,この点においても,原告の上記主張は東京高裁平成24年判決を正解しないものというほかない。

 したがって,原告の上記主張は,その前提を欠き失当である。

4 輸送の安全性の確保に係る主張について
(1)原告は,「自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会報告書(平成23年度)」(乙第24号証)によれば,規制援和により交通事故が増加し,安全性が失われたという事実はないから,安全性確保の観点からの増車規制には合理性がなく,上記データに照らしても,輸送の安全性確保と増車規制との間に有意な関連性はない旨主張する(原告第2準備書面7及び8ページ)。

(2)この点,上記報告書によれば,全国のタクシーの総事故件数は,平成17年までは増加傾向にあったものの,平成18年以降は減少していることが認められる。しかし,その一方で,重傷事故及び死亡事故の各件数は,平成18年以降もほぼ横ばいか,減少の歩みが鈍い状況にある(乙第24号証41ページ等)。

 また,前記第1の2(1)エ(イ)で述べたとおり,特措法の立法過程における国会での議論においても,本田参考人は,平成20年当時のタクシーの交通事故の件数は,他の自動車事故に比べて,減少の歩みが非常に鈍いという特徴があること,数値的にみても,同じ走行距離当たりの交通事故件数は,タクシーの場合は全自動車の平均の約1.8倍という事故発生率となっていること,日車実車キロといった指標による需給関係の悪化と事故件数の悪化には相関関係があると考えられることについて説明している。

 これに対し,原告は,「規制緩和がされた平成14年以降,・・・タクシーの交通事故死者数は減少傾向にあった」が,「平成21年10月に特措法が施行された後,同22年の死者数は,前年よりも増加した。」とか,「規制緩和後,走行距離1億キロあたりのタクシーの交通事故死者数は減少傾向にあったが,特措法施行後の平成22年に増加したことがわかる。」と主張するが,被告も供給過剰の状況(需給関係の悪化)のみが交通事故の発生に影響を与える要因であるなどと主張しているものではないし,わずか平成22年の1か年に交通事故死者数が増加したという一事をもって,供給過剰と輸送の安全性の低下とは無関係であると断定できるものでもない。そもそも,輸送の安全性の確保は交通事故死者数の数値のみによって測られるものではないのであるから,原告の上記主張は,上記報告書のデータを片面的に評価するものといわざるを得ない。

5 特定地域の措定が違法である旨の主張について
(1)原告は,「特別区・武三交通圏においては,実働一日一車当たりの運送収入が他地域に比べでずば抜けて高く,また,すでに規制緩和前の車両数以下となっているから,供給過剰の状態にあるとはいえず,『特に必要であると認める』地域であるとはいえない」として,特別区・武三交通圏を特定地域に指定したことが違法であると主張する(原告第2準備書面9及び10ページ)。

(2)しかしながら,前記1(2)において述べたところと同様に,特定地域の指定は,飽くまで当該地域(交通圏)における一般乗用旅客自動車運送事業の供給過剰等の状況に照らして検討,判断されるものであって(特措法3条),他の地域(交通圏)の状況と比較することで判断するものではない。また,既述のとおり,供給過剰とは,供給輸送力が輸送需要量に対し過剰であることをいうのであり(特措法3条1項2号),車両数の比較によって決まるものでもない。

 原告の上記主張は,特措法における特定地域の指定に係る枠組みを正解しないものであり,失当である。

以上

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